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腹腔鏡下副腎摘出(切除)術 体験談②

最終更新:2020年1月26日

体験談①の続き。

腹腔鏡下副腎摘出(切除)術の体験談について綴っています。

検索でお外からいらっしゃった方は、①からどうぞ。

kimagure-hondana.hatenablog.com

 

◆病名確定

前述の検査の他にもCTやMRI、エコー、造影剤検査なども受けました。

そして、想定していた病名(原発性アルドステロン症)であることが確定。

ここで手術にするか薬剤療法にするかを選びます。

 

基本的には手術で摘出してしまうことが多いのですが、手術できない人や左右両方の副腎に原因がある場合は、薬剤療法になるそうです。

 

私は手術を選択しました。

副腎自体それほど大きい臓器ではないのと、体内に2つあるので腫瘍だけの摘出ではなく腫瘍のある副腎の全摘出となりました。

 

◆手術方法

タイトルにもありますが、手術は「腹腔鏡下副腎摘出(切除)術」になりました。

これは、3か所ないし4か所の穴を開けて、そこから器具を挿し込み、モニターを確認しながら対象臓器を切除する方法です。

従来の開腹手術に比べると、患者の負担が激減するというメリットがありますが、その分手術の難易度は上がるそうです。

 

私の場合は左副腎でしたので、図のような位置に穴を開けました。

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腹部を正面から見た器具挿入位置(右側の黒点3か所)。

絵心の無s(ry

 

◆手術前検査

手術を受けることが決まってから、今度は手術に耐えられるかを確認するためにCTや肺活量の検査をしました。

また、肺活量が落ちないように、手術前は「コーチ2」という器具で肺のトレーニングを行いました。(リンクはメーカーホームページ)

金額は3,000円くらいだったかな。ちょっと高い。

 

◆手術前夜

手術前に下剤を飲みます。

これが地味に辛かった。

下剤が強いのか、私が下剤に弱いのか、腹痛が2~3時間続きました。

その間、トイレに籠りっぱなし。イタタタ。

 

◆手術当日

いよいよ手術日です。

他の患者さんの都合もあり、私は午後4時ごろから受けることに。

部屋で手術着に着替えて前処置をします。

前処置には「へそのごま取り」と「剃毛」があります。

「へそのごま取り」をする理由について、前図の3か所に開けた穴だけでは足りない時に、へそに穴を開けて器具を挿入することがあるそうです。

私の場合、準備はしましたが結果的にへそからは器具の挿入はしませんでした。

 

手術室までの移動はストレッチャーで運ばれていきます。

手術台に移乗したら、バイタル測定器やら器具の準備やらが始まります。

ちなみに、私は中度の近視なので通常はコンタクトレンズを付けていますが、手術中は装着できません。

メガネも前室(処置室)で外すように指示されます。なので、まったく見えません。

の●太君状態です。見えないというのは結構怖い。

 

その後、笑気ガス等をマスクから吸い込みます。

笑気ガスとは全身麻酔に用いられる亜酸化窒素というもの。

なんでも、麻酔をかけた患者の顔が弛緩で笑っているように見えるからだとか。

笑気ガスとした理由は説明上、笑気ガスって書いてあるけど、それ以外にも麻酔成分が入っているらしいので。

 

看護師さんに「大きくゆっくり息を吸ってくださいねー」と言われたのが最後。

次に気が付いた時は回復室(手術後に入る部屋)でした。当たり前ですけどね。

  

 

手術時間は概ね3時間程度だったそうです。

なお、尿道カテーテル*1の挿入は、意識を失った後に行ってくれるので、痛みは感じません。

手術後、処置室では一度、起こされるようです。起こされるのですが、意識ははっきりせずかろうじて手術が終わったんだなということしか理解できませんでした。

そこで少し待機をした後、病室に戻されます。

戻った後、脚に圧をかける器具*2を取り付け定期的に看護師さんが様子を見に来てくれます。

ここでも麻酔(痛み止め)が効いているせいか、痛みはあまり感じません。

ただし、寝返りができないので深く寝ることがなかなかできませんでした。 

30分ごとに目を覚ますのですが意識ははっきりせず、まどろみの中を漂っている様な感じが一晩続きました。

 

◆手術後1日目

徐々に麻酔が切れてきて、切創付近でズキズキと鈍い痛みが走りします。

頓服薬(痛い時に飲む薬)を処方され、痛みに我慢できないようであれば飲みます。

腹腔鏡手術の最大のメリットは、切創が極端に小さい*3ため、調子が良ければ翌日から食事(全粥)をとれます。

また、少しずつリハビリ(歩行訓練)もすることができます。

歩行ができるようになってきたら、尿道カテーテルが外れます。

 

◆手術後2~3日目

手術後の影響が徐々に出てきます。

まず、手術中の態勢が原因で起こる筋肉痛があります。

この手術では器具を挿し込む方を上にして、手術が終わるまでに2~3時間の間、バンザイ状態で横向きに寝ます。

なので、肩や腕が筋肉痛のような感じになります。

 

また、腹腔鏡手術では炭酸ガスで腹腔を膨らませます。

このガスは手術後、自然に抜けるのを待ちます。これが腹部の膨満感*4となり、苦しく微妙な痛みを伴います。

さらに、ガスは関節に流れて抜けるらしく、関節痛のような痛み(特に肩・肘関節)も伴いました。

切創の出血確認をして、大丈夫そうだったようで、抜糸しました。

 

◆手術後4日目(退院)

腹部の膨満感は若干残っていますが、食事も通常食に戻り、退院日を検討します。

切創の疼痛は相変わらずズキズキと痛みます。特に身体をねじったり、傷口側を伸ばしたりする動作はかなり痛みが伴います。

また、手術のために腹筋(腹側筋?)も一部切っているので、内側からの痛みも続きます。

私は術後の経過が良かったらしく、4日目の朝に執刀医が確認した際、「今日、帰ってもいいですよ」と言われました(笑

 

◆手術後1週間

手術のせいかは分かりませんが、体力が落ちた感じがありました。

ちょっとした動作や階段の上り下りで息切れがありました。

また、ぼーっとすることが多く、長く集中力を保てない状態が続きました。

車の運転や、長時間の歩行等は避けた方が良いでしょう。

この段階でも、腹部の膨満感と腹筋の痛みに悩まされました。

痛みが辛い時は処方された頓服薬で乗り切りました。

 

◆手術後2週間

術後1週間ごろまでは集中力がしばらくは続かない事もありましたが、2週間経つ頃にはほぼ健常に戻った感覚でした。

ここまで来ると、腹部の膨満感はほとんど感じなくなってきました。

腹筋の痛みも気にならない程度です。

ただ、身体の動かし方(切創部分を引っ張るような動きなど)によっては痛みを伴うこともありました。

 

◆手術後1ヶ月以降

内科と外科の受診をしました。

外科の受診では切除した副腎の写真と、病理検査(良性か悪性かの検査)の結果を聞きました。

 

血圧は適正値まで一気に下がりました。

そのせいか、しばらくはふらつきや軽いめまいがありました。

痛みはほとんどありませんが、切創部分のツッパリ感(違和感)が続いていました。

術後2カ月を経過すると、ほとんど気にならなくなってきました。

 

その後、3ヶ月毎に検診をして問題なく、終了となりました。

計画から手術までがとても長かったのですが、終わってみればあっという間でした。

ただ、検査と術後の辛さは想像以上でした。

 

これからこの手術(または類似した手術)を受ける方。

痛みはずっと続くわけではありません。

少しの間だけ我慢できれば、あとは大丈夫!

手術や検査前は不安が大きいかもしれませんが、この記事で少しでも心構えと安心が提供できれば幸いです。

 

なお、答えられる範囲であれば質問にもお答えします。

「コメント欄」または、サイドバーにある「お問い合わせフォーム」にてお問い合わせください。


以上、腹腔鏡下副腎摘出(切除)術 体験記でした。

 

 

*1:留置するときは結構痛い

*2:術後は1晩絶対安静なので血栓ができないようにするため

*3:回復も早く、退院も開腹手術に比べると圧倒的に早いです。

*4:腸内ガスがたまっている感覚とはまた違う