宅建士試験に1発合格できましたので、まとめました!
◆宅地建物取引士(宅建士)とは
宅地建物取引士は宅地又は建物の取引の専門家として特定の業務を行う時に、所持していることが必要となる資格です(ざっくり)。
身近なところではアパートを借りたり、家や宅地を買ったりするときの「重要事項説明」をしてくれるのが宅建士さんです(業務独占資格)。
不動産業や建設業など宅地と建物に関して取引をする場合に関わることが多いですが、毎年受験者は増加しているようで、結構人気な資格のようです(2021年10月試験の受験者数:209,681人)。
宅建士になるにはまず、「宅地建物取引士試験」に合格する必要があります。
ただし、試験に合格しただけでは「宅建士」を名乗ることはできません。
2年以上の実務経験がある人は、登録申請と取引士証の交付手続きをすることで宅建士となれます。
2年以上の実務経験がない人は国土交通大臣が指定する講習「登録実務講習」を受講することで2年の実務経験に代えることができます。
なお、宅地建物取引士試験の合格自体は生涯有効ですので、登録や取引士証の交付を受けなくても、失効することはありません(試験の合格に有効期限はありません)。
また、登録しても取引士証の交付を受けていなければ5年に1回の更新(法定講習)もありません(登録している人が取引士証の交付を受けるとき、宅建士試験の合格から1年以上経過しているときは、法定講習を受けないと取引士証の交付が受けられません)。
実務経験がない人は登録実務講習を受けるのに結構手間がかかりますので、登録までは済ませておくと良いかもしれません(使う機会が来るかどうかにもよりますが)。
登録料は37,000円(2021年現在)。私の県では収入証紙でのお支払いです。
登録をしておくと、取引士証の交付を受けていなくても、住所の変更や氏名の変更があった場合は登録の変更申請をする必要があるので注意が必要です。
取引士証の交付を受けた場合は5年に1回の更新が必要となりますが、更新の際に受講義務のある法定講習は16,500円(交付手数料4,500円込み)とのこと(2021年現在)。
登録料も更新料も紳士的なお値段なので、従事しないマニアでも身分証代わりに発行していてもいいかもしれません(ォィ
◆勉強方法
さて、勉強方法についてはいつも通りですが「テキスト」と「過去問」の周回と「模試」の有効活用です。
(受かっていないけれど)社労士などで法律に少し耐性があると思って臨んだ宅建でしたが、これまた毛色の違いに苦戦しました(;・∀・)
とりあえず、過去問からやってもパッパラパー(謎)だったので、テキストの読み込みから始めました。
ただ、社労士とは違って「条文を覚える」というよりは、「図化して関係性を覚える」感じが近いのかなーと。
もちろん、条文を覚えて理解していたほうが解ける問題も多くなるのかと思いますが、特に民法は条文を覚えるというよりは登場人物の関係性を理解するように努めました。
ちなみに、初学者(特に法律関係の学習経験が少ない方)はテキストの内容をはじめから「完璧に覚えよう!」と思って取り組んではダメです(;^ω^)
見たことの無い単語に、よくわからない制度のオンパレード。
全部を一度に覚えようとするととてつもなく時間がかかってしまいますので、最初はざっくりと「心裡留保ってこんなことかー」とか「開発許可ってこういうことかー」とか「事後届出は取得者がやるのかー」くらいな感じに捉えておくといいです。
実際、私もテキストを読んだだけではよくわからなかった用途区域や土地区画整理事業などについても、過去問をこなしながらわからないところをテキストに戻って~を繰り返しているうちに、全体像が構築されていった感じです。
お恥ずかしい話、テキストを読み始めた当初は「都市計画区域」と「市街化区域・市街化調整区域」、「準都市計画区域」の関係性も全く理解できていませんでした(;・∀・)
この辺りは実際の問題をやりつつ、図化してみたりすると少しずつ見えてくると思います。
大事なのは無理に最初から完璧にしようと思わないことです。
一生懸命覚えても、他の単元を勉強してから戻ってきたときには結構忘れていて衝撃を受けます(経験談w
人間は忘れるものですので、繰り返しやっていきましょう!(と自分に言い聞かせていましたw
書籍として選んだのはLECの出る順シリーズ。
予備校とか利用しないのでテキスト選びに何が重要かと考えると、やっぱり「何が出題されるか」に尽きるかと。
重箱の隅をつつくような問題が出てきたとしても、受験生みんなできないだろうし、そんなところに時間を掛けるくらいなら全員ができる問題を取りこぼさないようにすることが先決です(`・ω・´)
あとは、自分の勉強スタイルにあった書籍がいいですね!
私の場合はフルカラーより2色(または単色)刷りのほうが好き、というのも選定理由としてあります。
LECのテキストは3冊に分かれています。
権利関係は主に民法。宅建業法はそのまま業法。税・その他法令は建築基準法や各種税、土地区画整理事業等が記載されています。
権利関係は実際に図を描きながら「登場人物の関係性」をイメージします。
最初は、「なんて理不尽!」と思うこともありますが、法律的感覚を学んでいくと「こういう理由からこの人を守るのか~」などの形が分かってきます。
複数人が出てくるとごちゃごちゃしやすいですが、図化して関係性を間違えないようにするのがお勧めです。
特に代理人とか第三者とか図化しないと「誰が誰のために何をしようとしているのか」がわからなくなります。
ケアレスミスにもつながりますので図化することをお勧めします(`・ω・´)
宅建業法は覚えること満載。
しかも普段あまりかかわらない内容(供託や8種制限、重要事項など)が多いので、初めて見た時は覚えることの多さに圧倒されやすいですが、「宅建」というものに興味があってこの試験を受験しようと思っている方が大半だと思うので、この辺りは「資格に対する興味」で乗り切ることもできるかなと思います(;・∀・)
宅建士になった後のことを想像しながら、各種要件などを確認していくと覚えやすいです。
「自ら貸借」とか「宅建業者間の例外」とか問題文を読み飛ばしてしまったがゆえにミスってしまうことも多いので、問題と肢は丁寧に読む必要があります。
税・その他法令の中でも、私が苦戦したのは「建築基準法」と「開発許可」。
ここは細かい基準や数値を問われることも多く、苦しめられました。
インプット期では細かい数字までは無理に覚えず、まずは概要と何が規制されているかを意識して覚えます。
実際に細かい数字(開発許可や建築確認が必要な平米数や種類など)は直前期になってから補充していくほうがやりやすかったです。最初から覚えても2~3日後には忘れていましたし(;´∀`)
テキストを3冊ともさらっと流して全体像をつかみ、赤字になっている単語とその周辺を意識して読み込めたらいよいよ過去問に移ります。
使用した過去問はこちら。
全部で550問あります。が、実際に重要なのは「特A」「A」と一部の「B」くらいで、「C」とかは余裕があれば覚えるくらいがいいかと思います。
いずれの過去問もテキストと連動しているので、解説だけでわかりにくい場合はテキストに戻って確認します。
それでもわからないときはGoogleで画像検索しますw
これが結構便利。土地の形状とか用途区域の感じ(低層専用住居や準住居など)を画像で視覚的にみると理解が進みます。
文字で「低層の住居が立ち並び、一部小規模な店舗が併設された住居がある」という言い回しより、そういう街並みを画像で見たほうがわかりやすいと思います。
以前は「宅建試験は過去問が6割」なんて噂があったとかなかったとか聞きましたが、今回の試験を受けてみて、それは (ヾノ・∀・`)ナイナイ 状態でした。
過去問は「覚えるために解く」のではなく、「知識を補充するため」「自分の弱点(覚えられていないところ)の洗い出しのため」活用するようにしてください。
間違っても「過去問を●●周したから余裕」「過去20年分の過去問は全部覚えたから完璧」なんてことはありません。
過去問はあくまで知識補充と弱点発見のツールです。
過去問を活用して知識を身に着けたら、最終仕上げ「模試」をやります。
時間と費用の都合が合えば、予備校がやっている公開模試を申し込んでもいいと思います。
重要なのは「試験を体験すること」。
2時間で50問を解くのは簡単そうに見えますが、権利関係の問題や判例問題などを読み込んでいたりすると案外時間はかかるものです。
単純計算、1問あたり2分半くらいかけられそうですが、見直しの時間やマークシートに転記する時間などを考えると、1問あたり1分半くらいでこなせるとベスト(計算問題など、内容にもよりますが)。
全体的にどのくらい時間がかかるのかは模試を受けて、早い段階で感覚を身に着けておくことをお勧めします。
私は予備校の公開模試ではなく、こちらを使用しました。
※2024年度版は5月下旬ごろ発売予定です。
この書籍は4回分の模試ができます。
回答はLECのマイページに登録すると、後日現状の実力を示してくれます。
模試は受けただけではもったいないので、間違えてしまった問題や当たったけれど勘だった問題などをしっかり復習します。
基本的にやることはこれだけ。
過去問に入ってからはテキストは確認のために戻る以外、基本的に見ません。
過去問の解説を見て「周辺知識が不足しているな」とか「ここはどうだったかな」というときは、テキストを見て抜けている知識を補っていきます。
統計対策は統計情報を掲載しているホームページを参考にしました。
50点中35点付近で合格という1点の重みが大きい宅建試験では、苦手を作らずにする必要があります。
特に統計問題は例年1問出題されます。
「1問だけだから捨て問にしよう」というのはもったいない!
覚えるところはそこまで多くないのでしっかり覚えましょう。
(5問免除の方は不要です)
参考にしたホームページはこちら。
私が受験した時は公示地価について出題されましたが、こちらを確認していたためしっかりと得点できました(`・ω・´)b
いずれの項目が出題されても答えられるように「●●ぶり(●●年連続)」に「減少(上昇)」したのか、覚えておくと良いです。
過去問からも、今回の受験からも正確な数字(宅建業者数など)を求められるものは見たことがないので、上記の「昨年までと比較してどうだったか」「近年はどういう傾向にあるのか」を最低限しっかり覚えましょう。
あとは出先とかで待ち時間ができた時とかに「宅建試験ドットコム」の問題を解いていました。
ドットコムシリーズは基本情報技術者試験からお世話になっていますが、それぞれの肢に解説もしっかり入っていますし、自分の学習状況も確認できますのでお勧めです!
しかも無料というのがありがたい!!
ただ、今回は書籍メインだったので網羅率は35%(400問)くらい。
そこまでちゃんと取り組んだわけではありませんが、スキマ時間にやっていました。
◆勉強時間
有名どころの予備校では合格に必要な勉強時間は300時間~500時間と言われているようです。
仮に300時間として1日2時間勉強しても150日(約5ヶ月)。
確かに、しっかりもれなく覚えるにはそのくらいあるといいかもしれませんが、私は長期間あるとだらけてしまうこと、腰が重く上がらなかったので短期集中で取り組みました(ぇ
具体的には6月下旬ごろから勉強を始め、テキストをサラサラ読み。
8月上旬くらいから本格的に取り組み始め、9月中旬まではほぼ毎日1時間~2時間ほど。
途中、某ワクチンの副反応で全然勉強できない日もありましたが・・・。
9月中旬以降は土日に模試を入れたり、時間が取れるときは長めにとって1日4時間~6時間やる日も多々ありました。
さすがにこれ以上は集中力が続かなかったのですが、こんな感じで勉強して合計135時間ほど。
間違っても135時間で合格が保証できるわけではありません(重要)。
コツコツできるタイプの方はしっかり時間を掛けて取り組むことをお勧めします(;・∀・)
結果の通りボーダーギリギリだったわけですが、やり方さえ間違えなければ合格はできるかと思います。
あ、ちなみにStudy plusはお勧めです。
勉強時間を記録しておくと自分の成果が見えやすいですし、これだけ頑張ったのだからという気持ちの後押しにもなります。
「時間=合格」ではありませんが、努力を視覚化するためのツールとしてはいいかもしれません。
私の場合、直前期は「Study plusに●時間以上、記録しなければ」という半ば強迫観念みたいなものに迫られて勉強していました(いい理由ではありませんけどね・・・
実際、重要なのは「時間より質」ですが、続かなければ意味がないのでとりあえず勉強を記録するというところから始めてみるのも良いかと思います。
◆まとめ
今年の宅建士試験は例年に比べて、とても難しかったと聞きます。
初めて受験なので例年と比較する難易度についてはよくわかりませんが、確かに過去問でも見たことの無いものや、とーっても昔に出題された問題のリバイバル的なものが多々あった感じがします。
それでも、手を広げすぎず選択した書籍だけしっかり取り組み、過去問の○×だけを単に覚えるのではなく、「どうしてこの肢が正解(不正解)になるのか」という理由をしっかり身に着けられれば、言い回しを変えたり、立ち位置を変えてきた問題に対しても太刀打ちできると思います。
重要なのは、その肢の正誤ではなく「なぜそうなのか」です。
正誤について解説を見ずに理由を説明できて初めて「理解できた」ということになります。
もっと広げるなら、「こういう時はこっち」とか「これにはこういう例外がある」とかまでその肢から想像できればなおGood(`・ω・´)b
例えば建築確認のところだと、木造2階建て500㎡は建築確認が必要かについては、木造の建築確認が必要な基準以外にも、木造以外の場合や特殊建築物の場合の基準についても思い浮かべられるようにしておくと良いです(地階を含むかどうかなども)。
最初からすべてにおいてすぐにできるようにはなりません(出来たら天才!?)。
何度も過去問をやりながら、その周辺も含めて学習していきます。
何度やっても忘れているところは印をつけて漏れの無いようにします。
過去問は超便利ですが、使い方を間違えるといつまでたっても合格は難しいかと・・・
とはいえ、ボーダー付近での合格ということもあり、あまり偉そうなことは言えませんが(;・∀・)
ご参考になれば幸いです(・∀・)
◆合格証書